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講座5「環境を通して行う教育」を基礎から学ぶ

講師:佐々木 宏子、佐々木 晃​ 全6回 各40分 / 2023年配信講座



「環境を通して」という言葉を聞いて何を思い浮かべますか? 保育室の環境構成や、絵本や玩具の種類や量、もしくは丁寧な関わりができる人的環境などを思い浮かべる人もいるかもしれません。乳幼児期は、保育者の計画に沿って学習する「教科教育」ではなく、こどもの生活と遊びを軸にして「環境を通して教育する」ことが、幼稚園教育要領や保育所保育指針などに記されています。「保育者が教育する」ではなく、「環境を通して保育者は教育をする」といえるでしょう。


保育現場での「環境」に関する意識は高まっています。しかし「環境を通して」という言葉はさまざまに用いられ、常にあいまいさを伴い、ともすれば「環境」という言葉は誤解されているようにも感じます。そこで、鳴門教育大学の佐々木宏子名誉教授と佐々木晃教授をお招きして、鳴門教育大学附属幼稚園が30年以上にわたって取り組んできた「環境を通して行う教育」の実践研究を土台に、「保育環境とは何か?」を今一度問い直していきましょう。


タイトル

内容

講師

第1回
こどもが育つ基盤になる「環境」〜環境を通して行う保育〜
「子どもが自らの意志で選ぶ生活(遊び)の連続性を壊したくなかったから」(戎喜久惠副園長 / 1980年代半ば頃から)という保育者たちの願いから、鳴門教育大学附属幼稚園の「環境を通して行う保育」の実践は始まりました。そして環境を整備していく中で、「遊誘財」という概念が生まれました。
佐々木 宏子
第2回
こどもの自発的好奇心の躍動を追う〜こどもと環境をつくる保育〜
こどもたちと保育者が生活(選び)の中で大切に継承してきたものは何か? 生活(遊び)の中で遺されてきたさまざまな教材・道具・遊具・場所(空間)、表現文化・生活文化、遊び方・形など。年齢別保育を解体する中で、それらを遺してきたこどもたちの人間関係と保育者の保育方法についてお話しします。
佐々木 宏子
第3回
日々の環境構成の実践と生活プラン〜保育者の具体的な視点〜
日々の保育の見通しと、生活プラン(こどもの姿をまとめた独自の年間カリキュラム)が照らし出す保育のポイントについてお話しします。今日から明日への保育を考える手がかりとなったものは? 新任保育者Sが見つけ出した遊誘財研究の楽しみとは? 「環境とは?」「保育とは?」の問いに具体的な視点でお答えします。
佐々木 晃
第4回
遊びと遊ぶ姿が見える事例を書く〜こどもの事実を捉える方法の基礎〜
私たちが書く「事例」は、共に環境に触れつつ、こどもと保育者で描く物語のようなものです。こどもと環境と保育者の間に生まれる事実を捉え、三者が織りなす成長と可能性の物語の中に「領域」や「10の姿」も、自然と垣間見ることができます。
佐々木 晃
第5回
「問う」という営みから環境をつくる〜問いを見つけ、共有する〜
私たちの保育は、こどもに聴く、環境について調べて知ろうとする、先輩や同僚、保護者、あるいは自分自身や幼児期の自分に聴くなど、「問う」ということが基本となっています。問うことで何をつかんで、何が動き出すのかを事例を通して見ていきましょう。
佐々木 晃
第6回
循環的に環境を生きる営み〜遊誘財とは何か?〜
遊誘財とは、単にモノ(遊具や教材など)やコト(遊びの種類・行事など)だけではありません。保育者同士・こども同士の人間関係の成熟や協同活動の種類、広さ・深さ(表現・生活文化)、雰囲気なども含みます。同じ環境財が存在しながら、ある園では生活(遊び)が平板にとどまり、ある園では一人ひとりのこどもの好奇心が充たされ創意工夫が生まれるのはなぜかを、事例をあげつつお話しします。
佐々木 宏子


佐々木 宏子(ささきひろこ)
鳴門教育大学名誉教授。同志社大学文学部(心理学)卒業後、立命館大学大学院文学研究科(心理学)修士課程修了。博士(教育学)。北京師範大学教育学院(珠海分校)教授。日本保育学会常任理事、絵本学会会長、NPOブックスタート理事。著書に『絵本の心理学』、『絵本は赤ちゃんから ―母子の読み合いがひらく世界ー』(新曜社)など多数。

佐々木 晃(ささきあきら)
鳴門教育大学大学院教授。鳴門教育大学大学院修士課程修了。鳴門教育大学附属幼稚園教諭、徳島県教育委員会指導主事等を経て鳴門教育大学附属幼稚園園長。2022年より鳴門教育大学大学院学校教育研究科幼児教育コース教授。日本保育学会理事。著書に『0~5歳児の非認知的能力』(チャイルド本社)、共著『遊誘財・子ども・保育者』(郁洋舎)等。


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