こどものとも0.1.2. 2021年12月号
おんぶに だっこに かたぐるま
乾栄里子 文 / 西村敏雄 絵
大人の体は自由自在のジャングルジム
作者の乾さんが折り込み付録「絵本のたのしみ」で書いているとおり、「幼い人たちは、お母さんやお父さんの体をよじ登ったり、ぶら下がったりして遊びます。その記憶が体の中に残っていたら嬉しい」ですね。
これは、まさにその楽しみがそのまま絵本になっています。体育学を教えている方が話していたことですが、この絵本のように大人の体によじ登ったり、つかまったり、ぶら下がったりして遊ぶときは、大人もこどもの体をちょうどいい力で支えている。双方が力加減を調整しているから身のこなしがとてもスムースになるのだそうです。
わが家でも、肩車でてっぺんまで登ったら、するすると背中を伝って降りてくる。最初はこわごわでも、すぐに慣れて早く降りられるようになる。また、肩車のままで、お父さんは腕をバンザイのようにして、こどもの両腕を取ってくるりと前回りをする。こどもはドキドキで楽しくてうれしいのです。
読み方アイデア
お父さんの出番です。まずは絵本を持ってあぐらをかきます。そこへお子さんを座らせます。表紙を見てタイトルを読み始めます。ページを開いて本文を読みます。「おんぶに だっこに かたぐるま だれかのるこは いないかな」。読んでいる最中に、背中に回って登り始める子もいるかもしれません。そうやって楽しむのがこの絵本の楽しみ方です。
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