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Q. 3歳のこども、食事は好きだけどとにかく投げるのはなぜ? 



A

幼い人たちも私たちも、行為には目的があります。お子さんが食べ物を投げるのにも目的があるはずです。一緒に探ってみましょう。3歳のこどもがちょっと困ったことをするのは、「こっちを見て!」と、自分に注目してほしい場合が多いです。自分の存在を認めてもらうために困った行動をするのです。


では、食事の時にするのはなぜでしょうか? ほかの場面よりも注目してもらえると判断しているからかもしれません。お子さんが食べ物を投げた時、あなたやご家族はどのように反応していますか? 録画したビデオを再生するように思い出してみてください。褒めてはいないでしょうけれど、何か話しかけたり、投げたものを拾ったり、相当な注目をし、関わってはいませんか? お子さんにとっては、たとえ叱られたとしても、注目を得られれば目的は果たせるわけです。あるいは、その時のあなたの反応を楽しんでいるかもしれません。「どうして投げるのかなぁ」と言いながらアタフタと片付けているのを見て、おもしろがっているのかもしれません。


なぜそんなことを楽しむのかと思われるでしょう。私たちは自分のしたことが生み出す結果に関心があります。思い通りの結果だともう一度やってみようとしたり、さらなる結果を得ようと工夫したりします。お子さんのしていることはそういうことではないでしょうか。親しい人との関わりの中で相手を観察し、自分の行動を評価しているのです。いずれにしても、「注目されること」が食べ物を投げる行為の目的だと思います。


さて、この機会に食事以外の場面でのお子さんに注目してみてください。3歳児は自分の興味・関心に向かってさまざまなアプローチをします。五感(見る、触る、嗅ぐ、聞く、味わう)を駆使して感じ取ろうとします。おもしろいと感じた時に、一緒にいる大人にも見てほしいと視線でサインを送ります。それに応えて一緒に感じてみましょう。


 

藤田春義(ふじたはるよし)
1954年秋田県生まれ。むかわ町にて保育の仕事を6年余り経験し、その後、札幌第一こどものとも社に勤務。1996年に絵本とおもちゃの専門店「ろばのこ」を立ち上げ、育児教室を開催してきた。北翔大学短期大学部非常勤講師。札幌国際大学非常勤講師。 ​
 
※この記事は庭しんぶん42号(2021年2月号)に掲載されたものです。

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